士業という職業は、合格だけでは仕事ができません。登録をして始めて、名乗れるのです。合格は、あくまでも試験合格者、または、資格保持者です。
この登録があるため、今までは、公認会計士、税理士、弁護士、社会保険労務士、弁理士などの資格を持つ人が、労働者として勤務していた事業所を退職したとしても登録していることで、個人事業を営んでいると判断されていました。雇用保険の基本手当(失業給付)の支給対象にはなりませんでした。
公認会計士、弁護士、税理士、弁理士、社会保険労務士など士業でも失業給付がもらえる場合もある
登録しないと、例えば、公認会計士なら公認会計士として仕事にならないのに、どこかの事務所を退職したとしても、失業扱いではなかったのです。登録しているのなら、個人事業者でしょ?ということでしょう。
しかし、平成25年2月1日から、この扱いが変わりました。条件を満たせば、失業給付が支給されることになったのです。
もちろん、他の人と同じくハローワークに行って、失業の認定を受けてという手続きは必要です。しかし、名簿や登録簿などに登録している場合であっても、開業しているとか、事務所に勤務している事実がないことが確認できて、「要件」を満たしていれば、雇用保険の受給資格決定を受けることができることになったのです。
この要件というのは、「雇用保険の被保険者期間が、原則、離職日以前2年間に通算して12か月以上あること」と、「就職したいという積極的な意思と、いつでも就職できる能力(健康状態・ 家庭環境など)があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態(失業の状態)にあること 」の2点です。
これは、普通の失業給付と同じですね。辞めた理由が、病気やケガ、妊娠、出産などすぐに働けない人の場合は、「いつでも就職できる能力」というところで、ひっかかります。しかし、積極的に就職活動しているのに、いまだに事務所が見つからない、採用されないという場合は、「登録しているから」という理由で、失業給付がもらえないということにはならなくなったのです。
最近は弁護士や公認会計士など、大規模な事務所がありますし、法人化しているところもあります。こうなると、普通の会社員と同じような働き方になるわけです。事務所を辞めたら、給与がもらえなくなるのは、同じこと。個人で士業の仕事をしているとか、事務所に勤めながら、というのでなければ、普通の勤め人と同じ考え方をしようということになったわけです。
厚生労働省の士業の失業給付に関するリーフレットのPDFは、こちら。
現在は、このような取り扱いになっているので、先輩から、もらえないよと聞いていたという人も、条件を満たせば、支給されることを知ってください。この失業給付のことだけでなく、口コミとか、他人のアドバイスというものは、時代遅れになっていることもあるので、最新の情報を入れるようにしてください。