高年齢雇用継続給付のこともお忘れなく

以前にも書いたのですが、意外と多い考えに、ずっと働いていると雇用保険(失業給付)が損だから、早めに会社を退職して雇用保険を目一杯もらおう、というものがあります。これは、65歳以上の人の退職は、雇用保険の給付日数が違うことから来る考えです。

 

元を取らないともったいない、ということからくるのでしょうが、雇用保険も保険の一つですから、生命保険などと考え方は一緒で、万が一のためのもの、であるのです。「失業」ということになった場合の備え、と考えるといいでしょうね。

 

これは、けっこう聞かれることのようで、社労士の間でも言われていますが、ネット上の質問コーナーにも、65歳前に会社をやめれば、失業保険がいっぱいもらえますか?とか、65歳以降に定年退職すると、損ですか?という質問があがっているようです。

 

失業保険のことだけ考えて、就業規則などで定年退職扱いにならず、退職金の支給金額が大幅に減ったという事例もあるそうです。さらには、自分から申し出て、早めに辞めるわけですから(リストラの対象になったということではない場合)、自己都合退職になってしまい、3ヶ月の給付制限があって、その間、失業給付がもらえなかった、ということにもなります。

 

そのうえ、失業保険は、給与と全く同じ金額ではありません。100%の給付率ではなく、60歳以上65歳未満の場合は、80%から45%の給付率になります。上限額というものもあります(下限額もありますが)。

 

65歳以上は失業保険の日数が違ってくる、という話のほうがあまりにも、知られるようになっているのでしょうか。

なお、余談になりますが、一般的に65歳というのは、誕生日になると考えますが、法律上(「年齢計算に関する法律」)は、誕生日の「前日」に65歳になっています。ですから、65歳の誕生日の前日から給付日数が少ない「高年齢求職者給付金」(一時金)になります。誕生日の前々日でしたら、一般の人たちと同じ失業給付扱いになります。

 

60歳以降の賃金が大幅に下がった場合には

このように、失業給付のことばかり考えているよりも、働きながらもらえる雇用保険の活用も考えてみませんか、ということです。「働きながら」もらえるというと、失業とは関係ないと思いがちですが、これも「雇用保険」のなかの給付のひとつなのです。

 

「高年齢雇用継続給付」は、在職中にもらえる「高年齢雇用継続基本給付金」と、60歳以後再就職した場合(細かい条件あり)に支払われる「高年齢再就職給付金」の2つがありますが、今回は、在職中にもらえる「高年齢雇用継続基本給付金」のことを書きたいと思います。

 

雇用保険に5年以上の加入期間がある60歳以上65歳未満の人が、60歳時点に比べて、60歳以降の賃金が75%未満に低下し、働き続ける場合に支給されるのが、「高年齢継続給付」ですが、在職中にもらえるのが、「高年齢雇用継続基本給付金」です。

 

60歳以降も継続して働けるようにはなっているが、給与は減ります、という場合のことです。高年齢の人の雇用は、確保するけれども、雇用形態を変えたりして、給与は減るというものです。

 

では、その「高年齢雇用継続給付金」は、いくらもらえるのでしょうか。

60歳以上65歳未満の各月の賃金が、60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は、下がった賃金の15%相当額となります。
同じく60歳時点の賃金と比較して、61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて、下がった賃金の15%相当額未満の額になります。
ただし、上限額があって、低下した各月の賃金が一定の金額(平成26年8月以降の例では、現在は340,761円)を超える場合は支給されません。この上限額は、毎年8月1日に変更されることになっています。

 

ハローワークのページには、一例として、このような例が載っていました。

60歳時点の賃金が月額30万円であった場合、60歳以後の各月の賃金が18万円に低下したときには、60%に低下したことになりますので、1か月当たりの賃金18万円の15%に相当する額の2万7千円が支給されます。

どうでしょうか。この場合は、賃金の18万円と、給付金としての2万7千円を足した金額になりますね。

失業してしまうと、雇用保険から失業給付として、お金がもらえるとしても、「賃金」という部分はなくなりますね。

65歳前に会社を辞めてしまって、失業給付(自己都合で辞めることになるので、勤務年数20年以上の人でも150日の給付日数)をもらうのと、どちらがいいかは、ご自分で考えてみてください。退職金規定の確認もお忘れなく。