倒産や解雇で離職した30~44歳の失業給付の期間延長も議論に

雇用保険に関することは、何度か報道されていましたように12月に入り、労働政策審議会の職業安定分科会雇用保険部会で審議中でした。  

雇用情勢は、現在かなり改善されていて、失業者もリーマンショックの頃に比べればかなり楽に仕事が見つかるようになりました。

完全失業率も改善してます。ほぼ、完全雇用と言っていい状態です。

2016年12月8日付け、時事ドットコムより引用 雇用保険料下げ決着=育休手当拡充-厚労省審議会:時事ドットコム

労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の雇用保険部会は8日、失業手当などに充てる雇用保険料(労使折半で負担)を総賃金の0.8%から0.6%に引き下げることを柱とした報告書をまとめた。失業手当に関する国庫負担の割合は13.75%から2.5%に圧縮する。

いずれも2017年度から3年間の暫定措置。労使の負担を軽減し、財政支出を抑制する。

厚生労働省は報告書を基に雇用保険法など関連法改正案を17年の通常国会に提出する。 育児休業期間が最長2年に半年延長されることに伴い、雇用保険から支給する育休手当も最長2年に延ばす。給付率は休業開始から半年が休業前の賃金の67%、半年経過後は50%。

失業手当は最低賃金が引き上げられたことを受け、1日当たり136~395円増額。

失業手当の給付日数は、有期雇用契約が更新されない雇い止めで離職した人への拡充措置を5年間延長。

雇用情勢の悪化時や震災時は、倒産・解雇で離職した人を対象に最長60日延長、東日本大震災級の大災害で最長120日延長する。

  そこで積み上がった雇用保険の積立金なども含め、雇用保険に関しては、いくつか論点がありました。

・失業手当の給付日数についての見直し

・雇い止め離職者などの給付日数を、倒産や解雇の人たちと同じ扱いにする暫定措置の延長を行うか

・雇用保険料(労使折半)さらに国庫負担も減額

・雇用保険から出る育児休業手当を2年まで延長

・失業手当の増額

・雇用情勢の悪化時や震災時の給付日数の延長 などです。  

現在の雇用情勢を踏まえて

これらについて検討されていましたが、その財源となるものについては、平成28年12月2日の審議会資料に出ていました。  

平成28年12月2日付け、第120回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料

職業安定分科会雇用保険部会審議会資料 |厚生労働省  

 

雇用情勢の前提の前提としては、「平成28年度以降の受給者実人員については、平成27年度実績(44万人)をベースとしつつ、平成28年度改正の再就職手当の引上げによる影響を加味している」として、「受給者実人員 43万人」として試算していました。  

積立金残高は、平成27年で、約6.4兆円あるそうですが、雇用保険にかかる基本手当等の拡充、教育訓練給付制度の充実、育児給付金の延長や失業等給付に係る保険料率、さらには国庫負担率の時限的引下げで、平成33年には、積立金残高は約3.6兆円にまでなるとの試算が出ていました。

雇用保険の改正予定のもの

平成28年12月8日に行われた労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会の資料については、こちらの厚労省のページにあります。

職業安定分科会雇用保険部会審議会資料 |厚生労働省  

現在の雇用情勢は改善が進んだことが書かれ、平成28 年10 月の有効求人倍率1.40倍や完全失業率3.0%であることがその証拠となっています。

基本手当の受給者実人員は減少傾向となっています。

このような改善をうけ、積立金も増えているということで、上にも書きましたが、過去最高ともいえる金額の残高になっています。

そのうえでの結論ですね。

正式に決まるのは、国会の議論を経てとなりますが。 上記、厚生労働省の資料にあった報告(案)からいくつか以下にまとめておきたいと思います。  

賃金日額の上限、下限ともに引き上げ

基本手当、いわゆる失業保険ですが、賃金日額については、最低賃金の引上げが図られる一方で、雇用保険においては下限額は自動変更により低下してきたために下限額が最低賃金を下回る状態となったということで、下限額、上限額ともに見直しとなりました。

報道されているのを見る限り、1日当たり136~395円の増額になりそうです。とはいうものの、これは直前にもらっていた給与によりますので、個人個人では違いがあります。  

 

雇止め離職者の所定給付日数を拡充する暫定措置を5年間延長

平成28年度末、3月31日までとなっている暫定措置は、以下の3つがあがっていました。

・個別延長給付

・雇止め等により離職した有期契約労働者等の給付日数の充実

・常用就職支度手当の支給対象者の追加

 

そもそもこのような暫定措置ができたのは、雇用情勢が厳しかった頃のものなのです。それをどうするか、ということです。

雇い止め離職者(特定理由離職者)などの給付日数を倒産や解雇の人たちと同じ扱いにする暫定措置については、暫定的に5年間特定受給資格者として扱うこととされ、5年延長が書かれていました。

このような方々も、雇用情勢の改善で減ってきているものの一定数はいるということでそのような扱いになったようです。  

【注】特定理由離職者に関する規定ですが、平成29年3月31日までが期限だった暫定措置となっていましたが、平成34年3月31日まで延長となりました。

なお、今回の暫定措置の延長では、今までの暫定措置の内容が修正がされています。特定理由離職者を特定受給資格者と「みなす」ことで所定給付日数を増やす規定に関しては、対象となる範囲が「本人の意思に反して雇い止めされた者」のみに変わっています。「正当な理由で離職したもの(被保険者期間が1年未満で離職したものの中で)」は除かれました。

雇用情勢が悪い地域や震災による離職の延長について

今までも震災があったとか、急激な雇用情勢の変化に対し、個別延長給付で対応してきました。

このようなことはありえますので、個別的に延長すべきとの意見がありました。

リーマンショックのような雇用情勢が悪化した場合や震災による倒産・解雇で離職した人を対象に最長60日延長できるようにすることや、東日本大震災、熊本地震のような特に大きな災害の被災地域については、従来、広域延長給付により措置してきた給付延長に代わる措置として120日の延長が可能にするなどが盛り込まれていました(国会の審議を経てから決まります)。  

 

・「病気の治療と仕事の両立」が重要な課題となっていることから、難病等病気の治療を図りながら求職活動をする等の特定受給資格者等について、60 日の所定給付日数の延長が可能となるようにすべきである

 

難病を治療している特定受給資格者のことですが、このようなことは、あまり報道されていませんでしたが、報告書(案)には書いてありました。  

30歳以上35歳未満と35歳以上45歳未満の区分の特定受給資格者の日数延長

やはり特定受給資格者のことが中心になっていますが(自己都合による退職はある意味仕方がないのでしょう)、自己都合以外、倒産や解雇の人の失業手当について、2017年度から増額する方針が書かれていました。  

 

就職率をみると、被保険者であった期間(雇用保険に加入していた期間)が1年以上5年未満である30歳以上35歳未満の区分と、35 歳以上45歳未満が、他の層と比べて低くなっているということで、1年以上5年未満の、30歳以上35歳未満の特定受給資格者については、30 日増え(すなわち120 日になる)、35 歳以上45 歳未満については60 日増えることに(150 日になる)なります。

 

  給付日数などについては、労働者側で参加してた部会の審議委員は、自己都合で離職した人の給付拡充も求めたようですが、反対があって、見送られたようです。労働政策審議会の職業安定分科会雇用保険部会の議事録がでたら、どのような議論だったのか、その点がわかるでしょう。  

 

(※)特定理由離職者に関する規定ですが、平成29年3月31日までが期限だった暫定措置となっていましたが、平成34年3月31日まで延長となりました。

なお、今回の暫定措置の延長では、今までの暫定措置の内容が修正がされています。特定理由離職者を特定受給資格者と「みなす」ことで所定給付日数を増やす規定に関しては、対象となる範囲が「本人の意思に反して雇い止めされた者」のみに変わっています。「正当な理由で離職したもの(被保険者期間が1年未満で離職したものの中で)」は除かれました。

 

教育訓練給付について

専門実践教育訓練給付について、受給者が少ない状況にあるので、利用されるように周知することや、専門実践教育訓練給付の給付率や上限額について引上げることも盛り込まれていました。  

専門実践教育訓練を受講している45 歳未満の離職者の教育訓練支援給付金について、支給額を基本手当の80%に引き上げとともに、暫定措置を平成33年度末まで延長すべきということも書かれていました。 雇用保険の基本は離職した時のことですから、教育訓練給付は優先度としては後になりますよね。  

育児休業給付について

育児休業の延長期間として最長2歳まで可能にする方向なので、育児休業給付を延長することが書かれていました。  

財政について

失業等給付について保険料率の引き下げ、ならびに、国庫負担について3年間に限定し、法律上もそれを明記した上で引き下げることが書かれていました。

その他

就職促進給付についての改善や、マルチジョブホルダー等雇用保険の適用のあり方についても引き続き検討を重ねることなども盛り込まれていました。

報告(案)を読みますと、雇用保険見直しがどのような方向なのか、概略をつかむことができます。とにかく、すべては来年の通常国会で決まってから、となります。

その後 厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が雇用保険制度の見直しの方向性について、労働政策審議会職業安定分科会に報告し、了承を得たことが公表されていました。

厚生労働省がこの報告書の内容を踏まえたうえで、来年の通常国会への法案提出に向けて法案要綱を作成し、労働政策審議会に諮問する予定となっているそうです。

 

  労働政策審議会 職業安定分科会 雇用保険部会報告 |報道発表資料|厚生労働省    

 

雇用保険の改正については、来年の通常国会の時期に、また報道されるかと思います。報道に注目していくつもりです。


 

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