オフィスの場

先日、勤め先を11ヶ月で辞めては失業給付が出ないので損、という話を読みました。

それはそれで正しいのですが、落とし穴もあります。1ヶ月の勤務日数のこと。

これを正しく理解しておかないと、実は失業保険がもらえない、という事態にもなりかねません。

それと、原則と例外がある、ということも。

原則は「12ヶ月以上」なのですが、例外があります。

会社の倒産、解雇などです。

それと有期雇用契約の人が更新を希望していたにもかかわらず、会社が更新をしないとして辞める場合です。

この場合、辞めた日(離職日)以前1年間に雇用保険に入ったいた期間が通算して6ヶ月以上あればいいのです。

6ヶ月ない!と思った人は、それ以前を調べてみてください。

前の会社から転職までの間が1年以内。

退職したとき、そのときは失業給付をもらっていなかった

この場合は、前の会社の雇用保険の加入期間が足されるのです。

だから諦めないで、ハローワークで自分の雇用保険の加入状況を調べてみてもらってください。

役所など行きたがらない人が多いですが、ハローワークで聞くのが友だちの情報よりも確実ですよ。

通常→→会社をやめた日以前の2年間に被保険者期間(雇用保険加入)が通算して12ヶ月以上あること

解雇や会社が倒産などの特定受給資格者および特定理由離職者→→離職以前の1年間に通算して6ヶ月以上あること

令和2年8月1日以降に、離職する人は法律が改正になります)。

改正後は、離職日から1ヶ月ごとに区切って、その期間に11日以上賃金支払いの基礎となる日数がある月。

または、賃金支払の基礎となった労働時間が80時間以上ある月

という両方をみます。

このような「賃金支払の基礎となる日数」とか、小難しい言い方をするのかと思いますよね。働いた日、でいいではないかと。

なぜ賃金支払基礎日数というような長ったらしい言い方をするかというと、現実に働いた日だけでなく、有給休暇を取った日も含めるからなのです。

休業手当の対象となった日も含まれます。ということは新型コロナで、実際に働いた日は無いけど休業手当だけもらったという人もここに含まれますね。カウントできるということです。

だから月に10日以下の人は、改正後は離職証明書に労働時間を書くことになります。

 

雇用保険は1か月の勤務日数も忘れずに

勤務していた会社を退職した後、雇用保険に加入していた人は失業給付を受けることができます。

これは多く人が知っていることです。

しかし、この失業給付の支給要件の一つに、離職日以前2年間に、雇用保険への加入期間が通算して12カ月以上あること、というものがあることを知っているでしょうか。

通算して、ですから、途中で2か月あいたとかでもいいので、とにかく12か月以上あるかどうかを調べます。

ただし、最後に雇用保険に加入して被保険者になった日前に、受給資格、高年齢受給資格、特例受給資格を取得した場合、それは通算されませんので、注意してください。

 

倒産や解雇などの特別な場合以外、いわゆる自己都合による退職なら12か月以上

たとえば、A社をやめた時、受給資格を取得していたら、A社の被保険者期間は、次のB社の離職の際にカウントされる被保険者期間には通算されません。

これは安易な離職を防ぐためのものです。

そうなりますと、次のB社で12か月以上働かないといけないという歯止めになるからです。

このようにして考えると、1年未満で会社を退職した場合、12か月という要件をクリアしていないため、原則として失業給付を受給することはできないことになります。

(ただし、これは普通の場合で、例外があります。特定受給資格者または特定理由離職者の場合は離職前1年間に雇用保険加入が通算して6か月でいいことになっています)。

失業給付が支給されないとなると、次の転職先が決まるまでは全くの無収入ということになってしまいます。

次の転職先を決めないで、会社を1年未満で退職する場合、失業給付がもらえない可能性が高いことを頭においておきましょう。

もう数か月勤務すれば12か月以上になるという人なら、有給休暇を使うなどして何とか日数を伸ばし、12か月を経過してから退職する、ということも考えておきましょう。

ほんの1か月、2か月で失業保険がもらえない、となるのは損ですからね。

 

「失業給付」の支給要件が在籍12カ月以上だから大丈夫と思っていた人も

それとともに注意したいのが、日数のことです。

12か月以上だからクリアしていると思っていた人のことです。 雇用保険は、離職日から遡って1か月ごとに区切ります。

その区切った期間のうち、賃金の支払いの基礎となった日数を賃金支払基礎日数といいます。これが1か月ごとに区切った1か月の中に、11日以上ある場合を、「1か月」と数えるのです。

中には、1か月未満の期間が生じる場合もありますが、その時はその期間の日数が15日以上あって、なおかつ、その期間内に賃金支払基礎日数が11日以上あれば、その期間を2分の1か月としてカウントできます。

この賃金支払基礎日数とは現実に働いた日だけでなく、有給休暇を取った日でもいいですし、休業手当の対象となった日も含まれます。

とにかく、11日以上あれば、1か月とカウントされます。

11日以上働いていない、有休をとったわけでもない、となりますと、1か月とならずに、実は12か月以上ではなかった、というところで引っかかって雇用保険の失業給付が受けられなかった、ということがないように、もし、会社を1年以内に退職するというならば、その点をきちんと確認しておいたほうがいいでしょう。