9割の企業で残業があって、その理由は取引先への対応

今回のブログでは労働に関する最近の調査結果を2件みていきたいと思います。

 

まずは、東京商工リサーチによる長時間労働に関する調査結果です。

今、話題になっている残業ですが、東京商工リサーチによるアンケート調査の結果が発表されていました。
「長時間労働」に関するアンケート調査 : 東京商工リサーチ

上記東京商工リサーチの「長時間労働」に関するアンケート調査のページより引用

3月10日に発表しされた「長時間労働」に関するアンケート調査結果によると、「残業がある」企業は全体の93.8%で、規模を問わずほとんどの企業で残業が行われている状況にあることがわかりました。「恒常的に」7,095社(57.3%)が、「時々」4,504社(36.4%)であって、ない、もしくは、させないという会社は1割未満ということです。

 

残業がないことが原則なのですが、なかなか理想どおりにはいかないですね。どうしても相手があることですから、残業が「恒常的にある」のは問題ですが、時々あるということは仕方がないことなのかもしれません。しかし、頭から残業がないなんて考えられないと思うのは、間違いでしょう。それは思い込みかもしれません。柔軟に考えてみる必要があるでしょう。残業するには、原因があります。理想どおりにはいかないかもしれないけれど、最初からあきらめることもありません。

 

では、その恒常的にある、時々あるという残業の理由は、トップが「取引先への対応」で37.6%、「仕事量に対して人手不足」24.7%、「仕事量に対して時間が不足」21.1%、「日常的で特に理由なし」7.3%となっていて、残業となってしまうのは主に取引先の対応ということにより残業となるのが実態でした。

 

すでに人が足りないとか、仕事量がそもそも多くて、というよりは取引先のために残業となるようです。もっとも、これは大企業だと様子が異なっていて、仕事量に対し、人手不足のほうが多く、中小企業のほうが取引先のために残業となっていることがわかりました。

 

中小企業等は、取引先との関係による理由が大企業を11.8ポイント上回り、納期(工期)を守り、受注先との取引関係を維持するために残業が増える構造的な課題が浮かび上がっている。

 

立場が弱い、となると残業をせざるを得ないということでしょう。これは顧客の立場であっても、お互いに残業させないという共通認識が必要に感じました。

 

顧客側(これは一般消費者の場合もあるでしょうし、取引先ということもあるでしょう)、一言、明日でいいからとか、○日まででよいなど期間を長めに見積もることも大事かと思います。

 

世間のみんなが、これくらいのことは残業してでもこなすべきだとか、残業前提で考えるのでなく、お互い様の考えでないと、残業があること、というのはひとつの会社にとどまらず、他へも波及していくのだと思われます。

 

さて、世間のイメージでは残業はなかなか減らせない、会社側は残業時間を減らす努力をしていないように思われますが、単に手をこまねいているわけでもなく、実態は8割の企業が残業減少に努めていることがわかりました。

 

残業減少の努力をしているが、9,861社(79.7%)と約8割を占め、「いいえ」と答えた会社は1,537社(12.4%)と約1割程度だったそうです。

ただ、中小企業等は「いいえ」の構成比が大企業の2倍に達しているので、余裕や余力がない、背に腹は代えられないといったところでしょうか。

 

その理由をみると、

「納期・期日の問題などもあり、個々の企業努力ではどうしようもない」「中小零細企業は社員が絶対的に少なく簡単には改善できない」など、中小企業に根強い人手不足に起因する回答が多く、自社解決の限界もうかがえる。

中小企業の人手不足問題がありますから、どうしても残業が多くなりがちです。また、残業が多いために、求人をしても応募者がいない、応募者がいても社員の定着率が悪いと、悪循環になってしまいます。

 

いずれ機械化、ロボット化、人工知能で対応できるなど人が不要になる業界もあるでしょうが、まだまだ全産業において人手不足が深刻です。

 

残業で現在働いている人になんとか対応してもらうだけでなく、人手不足解消のためとして、反対に、勤務時間を短縮して短時間なら働くことができるという人(高齢者や女性など)を数多く雇うことで対応する例もあるそうです。

 

現在、働き方改革で、残業を減らすこと、ムダな会議を減らすして、生産性を上げるなどが求められています。その一方で、1円ライター問題(キュレーションメディアでの低賃金のライティングの仕事)からもわかるように、小さい子どもを育てながらも働きたい、家から離れることができないけれど働きたい、短時間だけ、自分の空いた自由な時間だけ働きたいという人もいるのです。

今までの発想、今までの固定観念から離れて、残業を減らして、より多くの人が働くことができる社会にしていく知恵を出さないといけませんね。

 

なお、今回のアンケート調査は、中小企業はどの程度の規模なのか、定義があきらかになっていない統計もありますが、今回の調査を見ますと資本金1億円が分かれ目のようで、きちんと定義がなされていました。

 

文中では、資本金1億円以上を大企業、同1億円未満(個人企業、各種団体を含む)を中小企業等と定義

 

 

転職に関しては合理的な考えで「条件のよい会社」へ移ることにも肯定的

さて、ふたつめの調査結果は、日本生産性本部による新入社員の意識調査の結果です。2016年度となっていますから、4月に入社した新入社員の意識調査の結果でしょう。有効回答数242ですから、数としてはそれほど多くないので、これがすべてとはいえないものの、参考になる数字だと思いまして紹介します。

 

日本生産性本部の調査は、長年に新入社員を追っかけて就労意識に関する調査を行っていました。おそらくその結果を見たことがある人も多いかと思います。「平成28年度 新入社員のタイプは『ドローン型』」のような発表をみたことがあるのではないでしょうか。その時々での新入社員の特徴を発表したり、データの経年変化も公表しています。新入社員の特徴だけでなく、以下に書くような意識調査も行っているのですね。

 

2017年3月8日、2016年春・秋に実施した教育プログラム等の参加者を対象とした「2016年度 新入社員 秋の意識調査」結果を発表

日本生産性本部の2016年度新入社員秋の意識調査より引用

公益財団法人日本生産性本部 – 2016年度 新入社員 秋の意識調査

 

上記のページを見るとわかりますが、過去最高となったものをピックアップしています。は 1991 年よりずっと行っていて、今回が26 回目だということです。それを見るだけでも最近の新入社員の考え方の傾向がつかめるのではないでしょうか。

 

1.【過去最高】54.6% 条件のよい会社があればさっさと移るほうが得である

2.【過去最低】37.8% 自分には仕事を通じてかなえたい「夢」がある

3.【過去最高】86.3% 残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間が使える職場が良い

4.【過去最低】61.5% 会社の親睦行事には参加したい

5.【過去最高】84.1% 子供が生まれたときは、育休を取得したい

 

過去最高というデータと過去最低というデータが混ざっているので、注意して読んでみてください。

 

「条件のよい会社があればさっさと移るほうが得」との回答は54.6%で過去最高となっています。それとともに、「残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間が使える職場が良い」というのもかなり高い割合でいることがわかります。

 

ここからわかるように新入社員(比較的若い年齢層でしょう)を採用したい、できるだけ多くの人から採用したい場合は、このような「残業が少なく、平日も自分の時間を持てる」、という点をアピールできれば、「条件のよい会社があれば、さっさと移るほうが得」と考える人の割合が高くなってるのですから、第2新卒としても、比較的若い年齢層の転職者の採用にも有利になることでしょう。

 

また「子供が生まれたときには育休を取得したい」も84.1%と、2011年の質問開始以来過去最高ということですから、育休が取れる職場環境であることも重要な要素になっています。これからは若手社員を採用したいという企業は、若者はこのような意識でいるということを踏まえて、人材募集を行うといいでしょう。