職業紹介会社(転職支援サービスなど)も求人に関して適切な支援を

国会での審議を経て、平成29年3月31日に「雇用保険法等の一部を改正する法律」が公布されました。
その中で、職業安定法に関する改正がありまして、以前にもある程度書きました。改正の目的は、職業紹介の機能強化や求人情報などの適正化を図るためです。

平成29年職業安定法の改正について |厚生労働省

 

施行日が3段階になっているのでわかりにくいのですが、すでに平成 29 年4月1日から始まっているものもあります。例えば、ハローワークで、求職者や求人をしようと思っているところに対して、職業紹介事業者に関する情報を提供するようになっています。

施行日については、平成 30 年1月1日からスタートというものもあります。それと公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日というものもあります。

 

民間人材ビジネス、例えば労働者派遣事業や職業紹介事業のような人材関係のビシネスの育成と更なる活用を推進していく、という方針も厚労省のサイトに書いてありました。

 

職業紹介、人材紹介については、過熱した部分もありまして、求職者を勧誘するために「お祝い金制度」を作っているところもありましたが、そのような制度は「望ましくありません」と書かれていましたし、求人求職者から受理する手数料が発生しているのなら、その手数料を明示する必要があるとも書かれていました。

 

また、有期雇用ではなく無期雇用契約の場合は(一般に正社員がそうですが)、その人材紹介会社が紹介した人が就職してからは就職した日から2年間は転職の勧奨を行ってはなりません、とも書かれていました。

 

これはウワサには聞いていましたが、能力のある人の場合、引く手あまたですから、転職先を紹介してから1年くらいたったら、再度転職しませんかという誘いがあったような事例を想定して、それを禁止しているのでしょう。人材紹介会社としては、紹介したらお金が入るとなると、何度も紹介したくなるでしょうが、それに一定の制限を設けたわけですね。

 

職業紹介事業者の運営について

さて、以前にも書きましたが、職業紹介事業者の事業運営の定めが変わりますが、これは平成30年1月1日からスタートです。求人する側が労働条件等の明示などで職業安定法に関する違反を行った場合、労働局による指導や勧告、 企業名公表などの対象になります。 

 

職業紹介の実績についての情報提供

職業紹介事業者は、職業紹介の実績に関する情報提供をすることが義務化となります。

それはどこに情報が載っているかといいますと、厚生労働省のサイト「人材サービス総合サイト」において、です。

 

けっこう地味めのサイトです。

人材サービス総合サイト

 

職業紹介の実績に関する情報なのですが、以下の7つの情報を提供することになります。

(1)各年度(4月1日~翌年の3月31日)に就職した者の数

(2)(1)のうち、期間の定めのない労働契約を締結した者(無期雇用就職者)の数

(3)(2)のうち、就職から6か月以内に解雇以外の理由で離職した者の数

(4)(2)のうち、就職から6か月以内に解雇以外の理由で離職したかどうか判明しなかった者 の数

(5)手数料に関する事項(手数料表の内容)

(6)返戻金制度の導入の有無および導入している場合はその内容

返金制度とは、就職から一定期間以内に離職した場合に、手数料の一部を返戻する制度など

(7)その他、職業紹介事業者の選択に資すると考えられる情報

なお、(7)については、任意となります。自分の会社をアピールすることを書くようになるかと思われます。

実際に上記サイトに載るまでには時間がかかりますから(年度の集計の必要あり)、本格運用まではまだですね。

 

求職者等へ明示する必要のある労働条件等

これは省令として決められたものと、指針、ガイドラインとして決められたものとがあります(義務づけとなるかどうかの違いあり)。

省令において、次の事項の明示が義務付けられました。
・試用期間の有無及び期間、試用期間中の労働条件
・労働者を雇用しようとする者の氏名又は名称
・派遣労働者として雇用しようとする場合は、その旨

以下についても、明示すべきであることが指針に明記されました。
・固定残業代制を採用する場合、固定残業代を除いた基本給の額、固定残業時間、固定残業時間を超えた場合は追加で給与を支払う旨
・裁量労働制を採用する場合には、その旨

 

なお、事業者における求人・求職管理簿について、平成30年度に就職した人の情報から、これまでの記載事項に加えて、新たに記録することが必要となることが増えています。

求人者に対する啓発等の必要性

今回の改正で、求人を出す側も求人票の労働条件と労働契約の内容が異なる場合等には、変更内容等を明示することになります。労働条件等の明示などが適正に行われるよう、職業紹介事業者は求人者に理解を求めていくようにする必要があります(指導監督等の規定も整備されます)。

求人票について労働条件等の明示が適切に行われるようにする必要があります。求人票や記載例等は、ハローワークの例を参考にすることが求められています。

 

紹介した求職者への対応に関する留意点

職業紹介事業者は、紹介した求職者が早期に離職することの無いよう、以下のように決められています。

(1)自らの紹介により就職した者(無期雇用契約に限る)に対して、就職した日から2年間は、転職の勧奨を行ってはならない
(2)手数料に関して、返戻金制度を設けることが望ましい
(3)求職者・求人者双方に、それぞれから受理する手数料の開示
(4)求職者等を勧誘するに当たっては、お祝い金等の金銭を支給することは望ましくない

職業紹介責任者の遵守事項

(1)職業紹介責任者は、職業紹介の従業者に対し、事業運営の改善向上のための教育を行わなければなりません。(外部の講習に参加させることも可能)
(2)職業紹介責任者は、「厚労省人事労務マガジン」に登録して、労働関係法令の最新の情報を確認しなければなりません。

全体的に見て、募集や求人の申込みに関連する労働条件などの明示のルールが強化されます。求人に関する情報の透明化と、今までの過熱した一部の業者の行いを抑制するようにして、労働関係の法令遵守をさせるように働きかける内容です。これらの他にも改正が行われますので、注意が必要です。

 

求人サイトや求人情報誌のような「募集情報等提供事業者」も

求人に関しては、職業紹介会社だけではありません。求人サイトや求人情報誌などのような求人や求職の情報を提供することがサービス内容の会社もあります。こちらについても募集情報などの提供事業のルールが新設されます。

まずは言葉の定義ですが、「募集情報等提供事業」とは以下のいずれか、又は両方を事業として行うことをいいます。想定するのは、求人サイトですね。

その場合、求人をしたい企業からその情報を求職者に提供することと、求職者に対して求人をしている企業の情報提供を行うことの両面があります。

・募集主から依頼を受け、募集に関する情報を求職者に提供すること
・求職者から依頼を受け、求職者に関する情報を募集主に提供すること

 

また、単に求人サイトと言っても内容によっては、職業紹介の許可を取得する必要があるので、厚生労働省のサイトで確認が必要です。

民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準について|厚生労働省

募集情報等提供事業者に求められること

求人情報サイトなどを運営する募集情報等提供事業者は、掲載する情報を適正にすることなどが努力義務となります。求人を出す側にも必要な協力を行うことになります。虚偽の記載はもってのほかです。

募集内容の的確な表示等に関する事項

具体的には、職業安定法に基づく指針により以下のような措置が求められます。また、募集主も、募集情報等提供事業者に必要な協力を求めるように努めなければなりません

(1)以下のような「対応が必要な募集情報」については、募集主に対して募集情報の変更を依頼するとともに、募集主が依頼に応じない場合は、その募集情報の掲載を控えるなどの適切に対応することが必要となります。また該当するおそれがあるときは、それを募集主に確認することが必要となります。

○対応が必要な募集情報
・ 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的の募集情報
・ 内容が法令に違反する募集情報
・ 実際の労働条件等と異なる内容を含む募集情報

(2)募集主から承諾を得ることなく募集情報を改変して提供してはなりません。

募集情報等提供事業者は、求職者の適切な職業選択のため、また、業務の改善向上を図るために、必要な措置をとるよう努めなければなりません。指針により以下のような取組みが求められることとなりました。

・相談窓口の明確化等、苦情を迅速、適切に処理するための体制の整備及び改善向上をはかること。

・求職者の個人情報の収集、保管及び使用を行うに当たっては、指針を踏まえ、秘密に該当する個人情報の厳重な管理等、求職者の個人情報の適正な管理を行うこと。

・募集情報等提供事業者は、募集に応じた労働者から、その募集に関し、いかなる名義でも報酬を受けてはならない

・募集情報等提供事業者は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業(ストライキ)又は作業所閉鎖(ロックアウト)の行われている事業所に関する募集情報の提供を行ってはならない

 

職業紹介、人材紹介を行っている事業者、転職サイトなどを運営する事業者、転職情報誌を出している事業者など、ひろく職業紹介に関わる事業者はルールを守って、適切な運用が求められます。利用者を保護するためにも必要となることです。